西武の若手を見守るブログ

埼玉西武ライオンズの若手や二軍についての備忘録です

フェニックスL2022の個人成績まとめ

2022年の第19回みやざきフェニックス・リーグの全日程が終了。子猫が本拠としている南郷は奇跡的に好天に恵まれ、中止なく全日程をこなすことができた。

埼玉西武ライオンズは11勝6敗1分の2位と好調。前半はなかなか打てないなか投手の力で勝ち、後半は打者の調子が上がって得点力で勝つという、投打が噛み合っての2位である。

 

個人成績についてまとめてみたので見ていこう。過去と同じく独自集計なので数値は違っている可能性がある。他の人がまとめてるのを見ても色々違ってたりするので正解じゃないかも知れないが、まあご容赦を。ちなみに死球出塁率にはカウントしないんだけど、スコアシートが四死球となってるので含めている(ベッケン選手はそれによって出塁率が上がっている)

 

打者編

打者は齊藤誠選手が中盤から帰還、代わりに古市選手、ジョセフ選手、コドラド選手が途中参加した。ジャンセン選手や川越選手、山野辺選手、戸川選手も名前を連ねてはいたが出場はしなかった。

 

大きく飛躍を遂げた川野選手

フェニックスリーグはレギュラーシーズンに比べてどれだけ差があるかを見るべきものだと思うので、イースタンと同様に良い成績を残した高木選手、西川選手、また山田選手のことはここでは触れない(西川選手の長打が減っているのが気にはなるが)。

そうした差で見るとわかりやすく伸びたのは川野選手だろう。一軍帯同から帰ってきた7月後半からその傾向はあったが、フェニックスでは打率.348、OPSも.948と強打者化した。長打が増えたからと言ってブンブン振っているわけではなく、三振と四死球はほぼ同数で、この割合もイースタンより格段に高くなっている。IsoDも1割近いので出塁という面でも優秀と言えるだろう。

気になるのはスイッチヒッターであるがゆえの左右差だが、これは後日ゆっくりと見ていきたい。課題として守備走塁の面、特にエラーの多さだ。盗塁も大会では積極的に狙っていき、そのため失敗も多い。一軍を狙っていくのならまずは守備固め・代走だと思うので、ここは来年に向けてトレーニングを積んでいくところだろう。

 

好調だった捕手陣

森選手がFA行使したから取り上げるわけではないが、大会を通じて捕手の打撃が好調だった。去年も駒月選手・牧野選手が打撃好調だったが、不思議と捕手が活躍する大会なのである。

その筆頭は中熊選手だろう。打率は3割そこそこだが長打力の伸びが素晴らしい。イースタン公式戦では全試合でツーベース4本、本塁打1本だったが、この大会だけでツーベース5本、本塁打1本打っている。中熊選手は長打力が課題と言われ続け、それが支配下昇格の遅れにもつながっていたと思うが、明確な課題として取り組んでいるのがわかる。その副作用か、中熊選手にしては四球が少ないという結果になっている。

また古賀選手も同じく長打力を意識した大会になった。長打力を示すIsoPはチーム2位の0.222。ホームランも打ち、単打よりも長打の多い結果となっている。その一方で古賀選手としては三振率が非常に高くなっており、積極的に振りにいったことが窺える。ただ古賀選手らしく、四球も非常に多くなっている。

途中参加で輝きを見せたのが古市選手。代打で出場すると3試合連続で代打安打を決め、少ない出場機会ながら5安打を放った。盗塁もあり、守れば刺殺もありでしっかりアピールしたと言えるだろう。また入れ替わりで所沢に戻った齊藤選手はヒットは一本も打ってないのに5四球を選び、打率.000で出塁率.375を記録している。

 

イースタンの出遅れを取り戻した中山選手

この大会で注目していたのが中山選手である。中山選手はイースタンでは打撃が伸びず、コロナでの長期離脱もあって出場機会も恵まれなかった。しかしフェニックスでは48打席と多くの機会を与えられ、その期待に応える活躍を見せた。固め打ちは少ないがコンスタントにヒットを打ち、打率.293、OPS.762まで数字を引き上げた。大会終盤にはホームランも放っている。古市選手や中山選手のように、離脱等でイースタンに待ち合わなかった選手に機会が与えられ、結果も残るという点もフェニックスの意義と言えるだろう。

 

終盤にかけて調子を上げた2人の大砲

イースタンでは本塁打か凡退かというくらい普通のヒットが少なかった仲三河選手だが、フェニックスでは逆になかなか調子が上がらず、長打も少なかった。しかし終盤になるにつれマルチ安打を連発し、楽天戦では満塁ホームランも放っている。結果、終わってみれば.316、OPSも.855と優秀だったが、本人にとってはちょっと不満の残る大会になったかも知れない。

渡部選手も、しばらくまったくヒットが出ず絶不調が続いたが、終盤になるにつれヒットが増え始め、同じく楽天戦でツーランホームラン、最終戦でもライトにツーベースを放つなど単打だけでなく打球の角度も上がるようになった。渡部選手にしてみれば、あと2、3試合多ければ…と言ったところだろうか。なお絶不調ではあったが三振率は優秀で、終盤のような調子を維持できれば期待も高まることだろう。

 

見栄えしない数字の裏にもポジ要素が

その他の選手を見ていくと、開幕前に期待の高かった山村選手や長谷川選手、若林選手はあまり数字を残すことが出来なかった。しかし山村選手や若林選手の三振率は低く、長谷川選手も四球で出塁がかなり多いという結果になっている。山村選手もイースタンに比べるとよく四球を選んでいる。

一方、ヘッドスライディングからの負傷で離脱した滝澤選手だが、この大会ではあまり良いところが無かった。疲れだろうか。

途中参加組のジョセフ選手、コドラド選手も、数字的にはそこまで冴えなかった。しかしジョセフ選手は広島の玉村選手から特大ホームランを打つなど、2本の単打に対して長打も2本となっている。コドラド選手は不調から戻せずに終わってしまったが、犠牲フライ2本とタイムリーで3打点を記録、勝負所できっちりと仕事する姿は健在だった。

 

投手編

一気に安定感を増した黒田投手

投手について見ていこう。まず注目は黒田投手だろう。シーズン終盤から安定感を高めてきた黒田投手だが、フェニックスでは3登板でいずれも安定していた。うち2登板では2失点しており防御率的には2点台となったが、特筆すべきは四球の少なさである。イースタンでは三振も四球も多かった黒田投手だが、16イニングで四球3と隅田投手に迫る四球の少なさである。高卒ルーキーながら開幕当初からコンスタントに投げ続けてきた黒田投手の成長に目を細めている子猫ウォッチャーも多いことだろう。

 

完投も中継ぎも経験した隅田投手

隅田投手はフェニックスでは抜けた存在、言ってみれば反則である。そんな隅田投手がフェニックスに出た意味がどこにあるのかと言えば、完投と中継ぎを両方経験できたところにあるのではないだろうか。この2つとも、隅田投手にぜひともファームでやって欲しかったことである。完投を目指すことで、球数や打者の巡りなど試合トータルをマネジメントする能力が磨かれ、逆に中継ぎで球数を考えず出力を上げていくことでいわゆるギヤチェンジを磨くことができる。隅田投手はファームで先発5〜6回100球程度で回ることを繰り返してもあまり意味がないと思っていたので、この2つを完璧に近いかたちでクリアできたことは喜ばしい。

 

長所と課題が同居した浜屋投手・豆田投手

防御率で見ると、豆田投手と浜屋投手も立派な数字を残している。豆田投手は3登板で1.13、浜屋投手も同じく3登板で1.71。しかし豆田投手は奪三振率も多い一方で四球も同じくらい出しており、三振で凌げることで失点も少なく済ませているが大きな課題と言えるだろう。

また浜屋投手は特に長いイニングを投げることも多く、四球数なども優秀ではあるが、防御率の割に被安打が多く、致命傷にはならないまでも跳ね返されることが多かったのはシーズンと同じ課題と言えるだろう。しかし3登板いずれも好投しイニングも稼げたことは評価できるポイントで、来年に向けての希望が見えてきた。

 

大きな課題を残した赤上投手・佐藤投手

一方、赤上投手と佐藤投手は公式戦の課題を積み残したフェニックスとなってしまった。佐藤投手は2登板とも被安打が多く、打ち返される展開となってしまいWHIPも2.3と良くなかった。奪三振は多く取れており四球も多いながらK-BBは優秀な数字となっているので、課題を克服し良さを伸ばしたいところ。

赤上投手は3登板で好投、序盤以外は好投、全体的に乱調という出来。後ろ2試合は序盤にホームランを打たれ複数点を取られる展開となっており、イースタン終盤で出た課題を積み残した印象だ。序盤を乗り切ればすいすいいけるだけに課題は明白。とにもかくにも序盤をびしっと締められるかどうかだろう。

 

松岡投手に続く大曲投手・齊藤大将投手

リリーフ陣に移ると、松岡投手はイースタン後半戦から抜群のピッチングを見せているが、フェニックスでも同様に良い出来だった。ランナーをほとんど出さなかったイースタン終盤戦に比べると四球が多いのが気になるところだが、そもそもフェニックス全体の四球が多めなので、ジャッジに泣かされた面もあるのかも知れない(ほとんど映像がないのでそこはわからない)。

松岡投手に次いで高い奪三振率を示したのが大曲投手だ。大曲投手は四球も被安打も少なく、WHIPは驚異の0.67。最終登板ではエラーも絡み乱調だったが、数字を落としてもこの成績である。来年が楽しみとしか言いようがない。

また左では齊藤大将投手も抜群だった。こちらもエラーが絡み失点はあったが自責点はゼロ。ランナーを出す場面も見られたが、奪三振とゴロでピンチを凌げるのが失点の少なさにつながっている。イースタン後半から復帰し、良い時と悪い時との差が大きかった齊藤投手だが、手術から時間も経って本格化してきたと言えそうだ。

 

安定感を欠いた井上投手・出井投手

一方、防御率で出井投手が7点台、井上投手が10点台となってしまった。抑える時にはさくっと抑えるが、乱調のときは大量点を失うという登板が多く、良い時と悪い時がはっきりする大会となってしまった。だがこれは調子が悪かったのか、奪三振にこだわった結果なのかはわからない。フェニックスはなんでも抑えれば良しというものではなくそれぞれ課題に取り組む場でもあるので、打たれまくったとはいえ2人とも奪三振率は悪くなかったことはポジっておこう。

 

恒例の佐々木投手先発、少ない登板ながら抜群だった菅井投手

その他、去年に続いて今年も佐々木投手が先発し、6回にスタミナ切れで失点したものの5回までをノーヒットに抑えた。去年はギリギリまで完封ペースで大きな可能性を見せた佐々木投手だけに、今回も先発が何かのきっかけになると良い。一方、中継ぎとしての佐々木投手は内容も良くもなく悪くもなくといった感じで、一軍ブルペンを回った経験からすると、あまりテーマを見つけられなかったかも知れない。

最後に紹介するのは菅井投手。菅井投手は高卒ルーキーということもあって慎重に登板機会を探っており、今回は開幕2試合目と最終戦に登板し、いずれも2回を無失点に抑えている。同じ高卒ルーキー左腕の羽田投手に比べると明らかな怪物感は薄いが、打ちにくいフォームからの変化球で奪三振もよく取っている。まだ育成ではあるが、左腕投手の引退が多かったこともあり支配下は早いかも知れない。

 

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