西武の若手を見守るブログ

埼玉西武ライオンズの若手や二軍についての備忘録です

二軍の滝澤、一軍の夏央

高卒育成からの鮮烈デビューで、西武ファンだけでなく野球ファンの心を掴んだ滝澤選手。よく言われる疑問に「二軍でも打てなかったのに一軍である程度打ててるのはなぜ?」というものがある。実際には打てなかったと言っても、昇格直前となる5月が13打数1安打とまったく打てず打率を下げていただけで、3月4月には.275、OPSは.625という数字を残している。高卒ルーキーの1ヶ月目としては目をみはる成績と言っていいだろう。

ということで、単純に打てる打てないではなく、滝澤選手は一軍と二軍とで何が違うのか、また一軍である程度通用する要素が二軍時代にどのくらいあったのか、DELTAさんの数字を見ながら検討してみた。

まずアプローチから見てみると、

  • ストライクゾーンのコンタクト率が高い(二軍では約95%、一軍では約90%)
  • 二軍ではあまりスイングしない(42%)が一軍ではスイングしている(約50%)
  • ボールゾーンのスイング率が一軍二軍とも30%程度と高い(振りすぎている)
  • ボールゾーンのコンタクト率が二軍では67%と高いが、一軍では20%ほど落ちる
  • つまり空振り率が増えている(7%→12.5%)

ということで、これは試合を観ている人の印象と同じだろう。一軍では落ちる変化球の対応に課題があり、ボールゾーンで空振りを増やしている。しかしストライクゾーンではボールをしっかりと当てている。西武の中で比較すると、この割合でストライクゾーンの球にバットを当ててるのは源田選手や鈴木将平選手などバットコントロールに優れた選手ばかりである。

 

ただ、空振り率が増えてコンタクト率が下がっているのは、必ずしも一軍ピッチャーに対応できてないだけとも言いがたい。なぜなら、二軍よりも一軍の方が強い打球を生み出しているからである。

打球の性質を見てみる。

  • 弱い打球の割合が減り(二軍19.4→一軍12.3)強い打球の割合が増えている(二軍19.4→一軍28.1)
  • ゴロがヒットになる割合がやや減り(ゴロアウト率 二軍約65%→一軍約70%)、フライがヒットになる割合が大幅に増えている(フライアウト率二軍約80%→一軍約60%)
  • ゴロの割合そのものも減っている(ゴロ率 二軍 約70%→一軍 約65%)

上の数字は降格して以降何試合か二軍戦に出た分も含まれており、経験値によってマイルドになっているが、3〜5月までの傾向はより顕著である。要するに、二軍ではバットにとにかく当てることが多かったのが、一軍ではしっかりと振り抜いて強い打球を生み出している。空振りが増えるのはこれとトレードオフである面もある。

また一軍ではゴロで抜くだけでなく、フライで内野の頭を越している。これは一軍野手の能力を考えた上で意識的にやってることだろうから、高卒ルーキーでありながら、素晴らしい対応力だと言える。

普通は逆で、二軍では振れていても一軍に上がると一流ピッチャーの球に当てるだけになりがちだ。今後、キャリアが進むにつれて変化球にも落ち着いて対応できるようになり、パワーがつくことで強いゴロのヒットも増やすことが出来るのではないだろうか。

 

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