西武の若手を見守るブログ

埼玉西武ライオンズの若手や二軍についての備忘録です

行方不明を経て別人に!?なった選手たち

子猫界隈ではよく「行方不明」という不穏な言葉が使われる。これは二軍になると情報もなく、ただただ試合にもベンチにも現れないため、故障なのか鍛え直しなのかわからず「行方不明」と表現するしかないためである。行方不明になる原因は故障やフォーム等の変更、さらには不祥事とさまざまである。

ファンはやきもきしながら待たざるを得ないが、そんなある日突然ベンチ入りに名を連ね、特に離脱理由が告げられることもなく普通に試合に出てくることがある。離脱前と変わらない選手もいれば、体格からフォームから変わって別人のようになる選手もいる。

今回は、そんな「行方不明」を経た選手の成績がどれくらい変わったのかを見ていこう。

 

CASE1:山村崇嘉選手

まずは山村選手から。山村選手は不祥事で出遅れたあとはコンスタントに出続けたが、6月30日を最後に姿を消した。その間にコロナ陽性にもなりながら再出場は8月の後半。イースタン公式戦での復帰8月24日である。

そんな山村選手が6月30日までと8月24日以降でどう変わったのか見ていこう。※データは独自に計算しており間違ってる場合もあるので注意してね。

  • 試合数(打席数):41試合(158打席)→19試合(81打席)
  • 安打(単/2/3/本):39(32/7/0/0)→26(19/6/1/0)
  • 打率:.271→.347
  • 出塁率:.299→.359
  • 長打率:.319→.453
  • OPS:.619→.812
  • 三振率:.160→.160

復帰以降はヒットが出まくっている。長打率が打率以上に伸びているのはツーベースが増えているからである。3〜6月の158打席で7本だったツーベースが、復帰は81打席で6本とペースが上がり、またスリーベースも1本出ている。去年6本のホームランを打った長打力からすると、復帰後の山村選手が本来の姿と言えそうだ。その一方で三振率は一緒であり、三振が少ないまま長打を伸ばしているのが興味深い。

高卒2年目ということもあり、山村選手の場合は行方不明の前後で別人になったというよりは、普通に成長したということかも知れない。

 

CASE2:仲三河優太選手

別人のような成績になった野手といえば仲三河選手だろう。仲三河選手は4月10日を最後に出場が無くなり、復帰したのは5月30日。さらにそこから3週間くらい空いた6月19日から復帰を本格化させている。ただ仲三河選手の場合、フォームを固めるためなのか単に優先順位が低かったのかわからないが、子猫でも連続して出るようになったのはかなり最近で、それまでは数日おきの出場のような形を取っていた。練習試合には出ているが公式戦では出ないということもあり、捕捉が面倒な選手でもある。

では仲三河選手の成績が4月10日までと5月30日以降でどう変化したか見ていこう。

  • 試合数(打席数):11試合(32打席)→36試合(104打席)
  • 安打(単/2/3/本):7(4/2/0/1)→15(4/2/0/8)
  • 打率:.241→.159
  • 出塁率:.281→.279
  • 長打率:.414→.455
  • OPS:.695→.733
  • 三振率:.310→.272

フォームも変わりもはや別人である。打率が2割中頃から1割中頃にガクンと落ちたのと引き換えに、ホームランが驚異的に増えた。なんと単打の2倍がホームランなのである(ただ、単打のはずの打球がランニングホームランになったのもあった)。長打率というのは単打でも上がるので数字の変化がわかりにくいのだが、長打率から単打を抜いたISOで見ると.179から.296と驚異的に長打が増えていることがわかる。一方、打率が急降下したにも関わらず出塁率は復帰前と復帰後でさほど変わっていない。相手が警戒したのかボールを見られるようになったのか、四球が格段に増えたからである。これも出塁率だけだとわかりにくいが、出塁率から打率を抜いたIsoDで見れば.040から.120に急増していることがわかる。四球が1割を越えれば優秀とされているので、総じてみれば率は低いもののこれは良い傾向である。三振率は水準として高いものの、若干下がってはいる。

 

CASE3:松岡 洸希投手

最後に投手も取り上げたい。行方不明を経て大きく変わった投手といえば松岡投手だろう。松岡投手は序盤、故障明けにも関わらず投手不足の子猫ブルペンを支えるためにフル稼働。5月22日まではかなりのペースで投げ心配されるほどだったが、ブルペンに選手たちが戻るのと入れ替わるように姿を見せなくなった。その後5月30日、6月10日と断続的に登板したあと7月10日に復帰、7月28日からは登板ペースを上げている。その後、コロナ陽性で離脱もあったが回復し今に至る。

上記のような登板間隔なので区切りを入れにくいが、便宜上6月までと7月以降を比較してみよう。上記の如く、データは独自に計算してるので間違えてたらごめんなさい。

  • イニング数(対戦打者数):22回2/3(120人)→19回2/3(76人)
  • 防御率:9.92→1.37
  • 奪三振K/9:10.72→9.15
  • 四死球率BB/9:9.13→2.28
  • 被打率:.319→.197

奪三振率以外はフォーム含めて別人である。復帰前も三振はよく奪えていたが、その数字は大きく変わらず、四球と被安打が格段に減っている。コロナから復帰した9月は9イニングでなんと被安打1、四球2しか出していない。失点については、復帰後の失点は台風接近で強風が吹き荒れていた8月12日の江戸川球場で巨人相手に3失点した試合のみで、他の試合では無失点である。復帰以降も自他のコロナで試合数が増やせず見た目の防御率はあまり下がっていないのだが、それも秘密兵器感があって良いのかも知れない。

 

ということで今回3人を見てきたが、山村選手はともかく仲三河選手と松岡投手についてはまったく別人のようになった。

ファームはこういう事が起こるので通年の成績はあまり当てにならない。ぱっと見の数字で判断するのは禁物、コンスタントに試合をチェックして成長を見守るのがファームの楽しみと言えるんじゃないだろうか。

 

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