【選手考察】松岡洸希投手・DER.393の謎
先日、松岡洸希投手の5月と7月の成績を比較してみた。
そのとき心を捉えて離さなかったのが、5月に記録したDER.393という数字である。これはちゃんと追跡して記事を書かなければならないのではないか。なぜだかそんな使命感すら感じたのだ。
DERとは、フィールドに飛んだボールをアウトにした割合である。それが.393とはつまり、フィールドに飛んだボールのうち4割弱しかアウトに出来なかったということなのだ。
松岡投手はこの月の奪三振率が27%、四球率が15%くらいなので、三振を取るか四球を出すかヒットを打たれるか、という忙しいピッチングだったことになる。
ということで、5月がどんな感じだったのか登板内容を見ていこう。
- 5/3 楽2回 単打−単打−空三−単打−凡打−凡打 / 空三−四球−空三−凡打→安打3 凡打3
- 5/12 ハ2回 凡打−四球−凡打−空三 / 空三−四球−二塁打−空三−見三→安打1 凡打2
- 5/17 楽2回 二塁打−凡打−見三−四球−四球−単打−単打−見三 / 四球−空三−空三−単打−二塁打−単打−凡打 →安打6 凡打2
- 5/19 楽1/3回 二塁打−野選−野選−凡打−死球−死球 →安打1 野選2 凡打1
- 5/22 De1回 四球(盗塁死)−空三−凡打 →安打0 凡打1
- 5/30 楽1 1/3回 単打−単打−凡打 / 単打−四球−単打−犠飛−空三−空三 →安打4 凡打1 犠飛1
→合計:安打15 凡打10 野選2 犠飛1 (三振14 四死球10)
確かにフィールドに飛んだ28個のボールのうち、凡打は10個しかない。野選が2あって損してる面もあるが、かなりの割合で安打が生まれている。二塁打も4本あり、打ち込まれているという印象だ。この頃の松岡投手はコントロールが悪く四球を出しまくってる印象だったが、四球よりも安打の方が1.5倍多い。
一方で三振は14個奪っている。凡打よりも三振の方が多い。単によく打たれるだけのピッチャーだったら三振はこれほど奪えないはずなので、これぞ松岡投手である。
これが6月以降はどう変わったのだろうか。
- 6/10 ヤク戦1回 死球-併殺−空三 →凡打1(併殺1)
- 7/10 ロテ戦1回 二塁打−凡打−空三−空三 →安打1 凡打1
- 7/28 楽天戦1 2/3回 併殺 / 凡打-単打−併殺 →安打1 凡打3(併殺2)
- 7/30 ヤク戦3回 単打-単打−空三−空三−空三 / 凡打−凡打−凡打 / 凡打−単打−単打−空三−凡打 →安打4 凡打5
- 8/2 ロテ戦2回 凡打−凡打−空三 / 凡打−空三−単打−凡打 →安打1 凡打4
→合計:安打7 凡打14 (三振9 死球1)
今度はフィールドに飛んだ21個のボールのうち、凡打が14個。DERで言えば.667となって5月と比べると「普通」になっている。3つの併殺を取っているのも大きなポイントである。数だけで見ると被安率はまだ.233でちょっと多いかなと思うけど、連打を打たれたのは7/30だけだ。さらに7安打のうち2塁打は1本だけと長打はガクンと減っている。四球がなくなり、安打は多いものの長打は減り、凡打は増えて三振は変わらず。良いピッチャーと呼んでもいいだろう(たぶん)。
ちなみに安打が減って凡打が増えていることに打球面での変化があるか見てみたが、5月と6月以降では傾向に大きな違いはなかった。併殺が増えたからゴロの割合が増えているのでは?とも思ったが、特にそうした変化はなく、ゴロとフライは大体同じくらいだった。しいて言えば、5月には内野フライが0だったのに対して、7月以降は内野フライをよく取るようになっている。
ということで平良投手の代わりに誰が上がってくるのかわからないが、6月以降に大きく変わった松岡投手が一軍でも見てみたい魅力を持ってることは確かだ(一方で、フォームを固めて完成度を上げた方が良いという意見もわかる)。ヒット性の当たりはきっと一軍の最強守備陣がことごとく獲ってくれるに違いないし。